デザイン・アプローチ
私たちsmbetsmb(エスエムビー・アンド・エスエムビー)は,プロジェクトのフィロソフィーやミッションが,そのものらしく存在できるよう,対話を重ね,言語化し,視覚化していきます.
私たちが拠り所とする姿勢と視点について,以下に書き留めます.
人の営みの単位から
ある建築家は「魅力的な街並みでなければ,其の一軒から.自分がデザインした一軒から街並みを変えていくんだ」と語りました.
ひとつの事象を,より大きな文脈の中で捉えるそのまなざしに学ぶことが多くあると感じます.たとえ小さくとも,志のあるものがこの世界に存在していることに気づいたとき,人は救われることがあります.
私たちのデザインの声は小さなものかもしれません.
それでも節度を持ち,人類が営んできたデザインの歴史に静かに連なっていくこと——それが,私たちの役割だと考えています.
クリエティブと協働
またある建築家は「建築家が孤軍奮闘してもダメなのです.建築というのは,サポートしてくれる人なしではできない」と述べています.
この言葉は,現代のデザインワークの本質を言い当てています.
追い風のないなかでこそ,創造は研ぎ澄まされてきたのかもしれません.
私たちは,遠い昔の営みに耳を澄ましながら,技と視座の歴史に手をのばしていく必要を感じています.
クライアント,写真家,ライター,開発者,そして多様な専門家たちとの協働があってこそ,価値が生まれ,見たい景色が「見てもらいたい光景」に磨かれていく——私たちはそう信じています.
デザインの姿勢
私たちは,2011年,震災直後の覆われるような不安の中で独立しました.
smbetsmb(エスエムビー・アンド・エスエムビー)という屋号は,ドイツのあるデザイナー夫妻から着想を得ています.
夫妻は,プロジェクトのなかで,「ひぎ みだり(右や左にはたいした意味はない)」という言葉遊びを残しました.
それは,単なる言葉遊びではなく,視覚や言葉が人々に与える影響力を知る者としての,強い倫理的な姿勢の表れだと,私たちは受け取っています.
中立とは,曖昧さでも傍観でもなく,どちらかに与することなく,自らの目で観察し,問い続けること.
多様な立場や視点が交差するいまの社会において,私たちはこの中立の姿勢こそ,デザインにとって必要な「もうひとつの軸」だと考えています.
どの時代においても,中立や平等は脆く,壊れやすいものです.
だからこそ,私たちはそれを大切に抱え,デザインというかたちで守り,つないでいきたいと思っています.
文化的視座
四十の手習いで始めた茶の稽古は,素養を磨く大切な時間となっています.
作法と室礼,そして思いやり.これらの学びは,現代のデザインワークにも新鮮な示唆を与えてくれます.
日本が育んできた様式美や自然観は,異なる文脈を持つ文化においても独自の価値を持つものです.
この豊かな文化資産を,過度な偏りなく,現代に活かしていく.
そして,相手の背景を理解し,互いを尊重し合える風土が,少しずつでも息づくよう努めていきたいと思っています.
smbetsmb, 2025
引用元
*吉村順三・住宅作法(1991)
*ル・コルビュジエの勇気ある住宅(2004)
*文字百景(1999)
smbetsmb
エスエムビー・アンド・エスエムビー
新保慶太+新保美沙子
keita shimbo + misaco shimbo
視覚による統合と価値の創出
断片化されたエレメントを,視覚言語によってつなぎ,知覚へと束ねていくこと──それが,私たちがデザインに託している役割です.
タイポグラフィ,フォトグラフィ,ライティング,編集など,複数の要素が重層的に関係し合うなかで,デザインが脈を打ち,ヴィジュアル・コミュニケーションが立ち上がります.
しかし,私たちのデザインは,必ずしも何かを一つに集約することを目的としていません.
複数の視点や構造が入り混じった状態を,知覚可能な状態に束ねていくためのプロセスです.
それは,集約ではなく「接続」と「編集」に近い行為であり,視覚と言語を通じて多層的に関係づけていく営みです.
私たちは,コーポレート/ブランド・アイデンティティの構築を軸に,知と情報の伝達・循環を支える総合的なデザインに取り組んでいます.
主な仕事
『Ryuichi Sakamoto|Ryuichi Sakamoto 2019』アナログ盤ボックスセットのアートディレクション
『ssstein』ブランドのヴィジュアルアイデンティティ構築
『FUJII HIKARU|monograph』装丁・エディトリアルデザイン
『一圃一酒|SEN』コンセプト開発・ヴィジュアルデザイン
exhibition
2021 tanzaku
2019 watercolours
2018 photo-graph
2017 la maison blanche|石膏の部屋 / reduction
2016 blink
2015 defocus
2014 given
2014 relations
2013 INTO THE WOODS
interview
2024年10月 BRUTUS|日用品図鑑
2024年5/15号 BRUTUS|居住空間学2024
2023年12月 Cleansui クリンスイ|インタビュー 水と住 水と食
2023年9月 &Premium|極私的・偏愛映画論 vol.94
2022年6月号 &Premium|花を飾る、緑と暮らす。
2022年春号 HERS|好きなものと暮らすための「新しい目」
evam eva journal|はじめること、つづけること
2021年4月号 Casa BRUTUS|暮らしを整える、整理術
GQ japan|Ryuichi Sakamoto 2019
artida oud|Journal
2020年3月号 GINZA|プライベート空間、拝見!
2017年5/15号 BRUTUS|居住空間学2017
2016年5月号 ブレーン|Book & Magazines
112 0003 東京都文京区春日2-22-5 Kawaguchi Apartments
・後楽園駅 徒歩10分
東京メトロ丸ノ内線、南北線
・春日駅 徒歩10分
都営地下鉄三田線、大江戸線
・飯田橋駅 徒歩15分
JR中央・総武線、東京メトロ東西線、有楽町線、南北線、都営地下鉄大江戸線
tel: 03 5656 4205
email: info (a) smbetsmb.com
(a) =アットマーク または contact よりご連絡ください